課題1 模型実験による詳細な市街地氾濫過程とその水理諸量
概要
詳細な市街地模型を対象とした氾濫実験の水理諸量と数値モデルとの比較を行い,再現性や実用性を踏まえた最適な解析モデルの検討を行う.
内容
数値シミュレーションにより津波のハザード・リスク評価を詳細に検討するためには,津波の陸上氾濫現象をより精度良く予測できる数値モデルが必須である.本課題では,Prasetyo et al.(2019)による論文の水理実験を対象として,詳細な市街地模型を対象とした氾濫実験の水理諸量と数値モデルとの比較を行い,再現性や実用性を踏まえた最適な数値モデルの検討を行う.
同論文は,詳細かつ複雑な市街地模型を氾濫する津波の物理プロセスを明らかにする目的で実施しており,さらに実験結果を用いて,数値モデル(2次元平面,準3次元)の妥当性の検証を試みている.本ハッカソンでは,同実験の未公開のケースを課題として提供する.
実験の詳細については以下のとおり.
- 宮城県女川市中心市街地を模擬した津波遡上実験(図-1AおよびCを参照).模型縮尺は1/250.
- 長さ10m,幅4mの実験水槽において,沖合(1/10勾配)から砕波段波型もしくは孤立波型の水位波形を入射波として造波(ハッカソンでは,論文未公開の入力波を提供).
- 計測項目として,水位時系列(海域2点,陸域10点),流速時系列(海域2点,陸域3点),圧力時系列(陸上構造物18点),浸水域(画像解析により取得)を計測.
事前公開データ(使用申込はこちら)
- 課題1 事前公開データについて
- 地形データ
- 水位データ
- 底面圧力データ
- 実験値出力地点座標
比較方法
以下について比較する(比較事項を追加する可能性もある).
- WG3〜WG13の各水位時系列
- WG3〜WG13の最大水位分布
なお,空間解像度を変更する,構造物グリッドを粗度モデルとして置き換える,などの数値計算における各種設定は自由とする.
参考文献
Adi Prasetyo, Tomohiro Yasuda, Takuya Miyashita and Nobuhito Mori, Physical Modeling and Numerical Analysis of Tsunami Inundation in a Coastal City, Frontiers in Built Environment, Vol.5, Article 46, pp.1-19, 2019. https://doi.org/10.3389/fbuil.2019.00046
お問い合わせ
課題に関する質問などはこちら.
計算チームの参加申込はこちら.
図面
図-1 A: 女川の航空写真,B: レーザースキャンデータ,C: 実験条件(地形条件)の概要
(Prasetyo et al. (2019)のFigure 2を借用させていただきました.)